塩入清香「本日は元静岡大学教授であり税理士の湖東京至さんです。よろしくおねがいします。簡単にこれまでのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか」
湖東「私若い時で学生の頃なんですが、ある地方の役所の税務課というところに、仕事に行っていたんです。
それで、そこで税金を取る立場というのをよく勉強しました。
これはもしかすると、取られる方の国民の側にもそういう仕事をする税金の計算をする人がいるんではないかと思ってたどり着いたのが税理士という仕事です。
つまり、国の方は税収を上げたい、きちんと取りたいという事を言いますが、きちんと取られているかどうか分からない。
はっきり言えば、納め過ぎてはいけない。
そういう人のためにある職業が税理士だということで、私税理士試験を受けまして、28歳の時に税理士試験が終わりました。
で、それで税理士事務所に入りながら勉強したんですが、それで税理士の資格を取ったのが28。それからずっと今日まで数十年間税理士をやってます。
ですから弱い立場、税金を取られる立場の勉強をしてきたということになります」
塩入「今問題となっている消費税のエキスパートでもあられる先生でございます。」
食料品0%は愚策中の愚策
物価は全く下がらない
塩入
「本日はこんなテーマでお話を伺います。
“食料品消費税ゼロの真実。高市政権の減税政策は本当に国民のためになるのか”というテーマです。
本日は食料品消費税0%について湖東先生にお話を伺ってまいります。
さて、高市政権になって消費税の減税は行われず、食料品のみ消費税を一定期間0%にするという方向でお話が進んでおります。
こちらは、物価高に苦しむ家計支援や消費マインド改善を目的に2026年秋の臨時国会での法案提出、2026年度中または2027年度からの実現を目指す動きが浮上しているのですが、この食料品の消費税0%政策というのは、どういうものなのか?
視聴者の方に分りやすくご解説いただけますでしょうか」
湖東「はい。高市政権になってですね、食料品0%税率というのは悲願だっていって出てきました。
その前にも立憲民主党などが選挙の公約として、食料品は0税率にしますというようなことを言っておりました。
食料品0%というのは、今8%の食料品に対する税率を0%にする。
ちょっと聞くと、とても良いような物価が下がるような印象を受けますけど、何の役にも立たないということを今日お話をします。
食料品0%というのは愚策中の愚策だということをお話しなくてはなりません」
塩入「まあ、参政党としてもですね、食料品のみの減税には反対している立場なんですけれども。
まあ、この食品のみの減税について、湖東先生のお考えをお聞かせいただけますでしょうか」
湖東
「はい。食料品の部分が今8%。これが0%になるんだから、8%が0%になって物価がその分下がるのではないかと考えておられる人がいます。
で、政府もなんかそういう雰囲気を感じているんでしょう。
が、これはとんでもない間違いなんです。
物価は全く下がりません。
食料品は1銭も下がらないと言っていいでしょう。
なぜでしょうか?
この食料品の0税率。まあ、軽減税率もそうなんですけれど。
消費税という税金は、価格への転嫁をするということが書いてありますが、義務でもないし保証もない。
だから、例えば8%から10%になった時2%上がりました。
その時も法律上上げなければならないという義務ではないんですが、便乗値上げをしたわけ。それで一斉に上がった。
その便乗値上げというのに乗っかって物価が上がったわけです。
では今度、8%が0%になって、下げなければならない義務が法律上あるかというとないんです。
もし下げた人がいたとしたら、これは便乗値下げ。
法律上の保証も何もないですから、下げることは自由なんですが下げないというのが普通です。
便乗値上げというのはやりますが、便乗値下げってするでしょうか?しませんね。まずしません」
塩入「上がったものを下げるっていうのは…」
湖東
「はい。下げません下げません。ですから、物価は下がりません。
ということをまずはお話しなければなりません。
だから、物価対策にならないということですね」
飲食店にとっては増税に!
現在受けられている仕入れの税額控除が受けられなくなる
塩入
「えっと、そもそも物価対策と言われている消費税なんですけれども、実際に下がらないとするとですね。
例えば今問題として言われているのが、食料品の消費税が0%になることで、飲食店に人がいかなくなってですね、飲食店の経営が厳しくなるといった影響が出てくるのではないかというふうにも言ってる方もいらっしゃるんですけども。
これについては湖東先生どうおかんがえですか」
湖東
「これはあの、消費税の仕組みをね、ちょっとお話しないとならないんですね。
今飲食店の方は消費税を納める時に、1年間の売上×10%。
それから、仕入れに入っているものを引けるんですが、軽減税率ですから、食材など8%引きます。それから電気・ガス・水道家賃などは10%引いて納めます。
※飲食店が納める消費税…1年間の売上×10%-仕入れ(8%)-家賃等(10%)=納税額
これが食料品が0%になると、売上×10%は変わらないんですが、仕入れの分の8%が引けなくなっちゃう。そうすると、納税額がグーンと増えるんです。
※食料品の消費税が0%になった場合に飲食店が納める消費税…1年間の売上×10%-仕入れ(0%)-家賃等(10%)=納税額(増加)
年間の売り上げに10%かけたものから、食材費に入ってるものは引けませんから0なんです。引くのは0ですけれど、納税額は増えます。
納税額が増えるのには、食料品が0%になった分、貯金しておけばいいじゃないかって、貯金なんかする人はいません。
消費税というのはそんな甘い税金ではないんです。
ですから、実際に納める時になってビックリするんですね。
そして納められない、滞納が起こる。そして潰れていく。
だから、街から飲食店がなくなる、ラーメン屋さんがなくなるということが、食料品0%で起こることになります」
塩入
「まあちょっと難しい言葉で言うと、仕入れの税額控除というシステムがあるわけですね、そもそも。
それが受けられなくなるから、飲食店の方たちは余計納税額が増えてしまう。
本当は8%分引けるはずだったのが、ゼロになってしまうということなんですね」
湖東
「で、売り上げの方の10%は変わらないわけですから、納税額が増えてしまうわけですね。
で、そのことについて、「いや、そんなことはないよ」と。
仕入れ値が下がったんだから、その分のお金が余るんだから貯金しておけばいいじゃないか。
そんなことできる人はいません。飲食店みんな大変ですから。
ですから、街から飲食店が姿を消すということになるということを危惧するわけです」
塩入
「先ほどね、仕入れの値段が下がった分、貯金できるんじゃないかっていうこともおっしゃる方もいるんだけど、その仕入れの値段が下がるかどうかすらも、分からないってことなんですよね」
湖東
「そうなんです。それもさっき言ったように、本当に下がるかどうか。
値段は交渉ですから。
8%が0%になったんだから下げろよって、じゃあ納品しませんよって言われたら終わりだから、じゃあ今までの値段でいいわっていうことになる。
そういうことも実際に起こるんですね。
ですから、0税率になって物価が下がるっていうことも嘘だし、街の飲食店がつぶれる恐れがあるっていうことは、これはもう確かで。
飲食店業界がものすごく今反対していますね。」
他国でも検証済み!…税率下げても物価は下がらない
お店の善意によって下がるだけ…下がるかどうかは気分次第で義務は無し
塩入
「先生そのね、食料品の消費税0っていうのも、よくよく考えると、食料品だけじゃなくて既に今もう0税率っていうんですか。やってるところっていうのはあるんですか?」
湖東「あります、いくつかね。イギリスとか0税率でやってます」
塩入「そうなんですね。そうなると、イギリスの方たちも同じようにその税額控除がなくなって、結構苦しい思いをしてるっていう?」
湖東
「そうです、そうです。もちろんそうです。納税額が増えて。
まあ、一例申し上げますとね、フランスでこういう話がありました。
フランスは今20%が標準税率。日本の10%の倍あるんですね。
で、当時19%だったんです、標準税率が。
それで、飲食店やレストランなどの仕入れは、フランスは軽減税率で0%ではないんですが、5.5%なんです。
ですから、差がすごくあるんですね。(19%:5.5%)
それで、納税額が多くなるので、レストランの外食産業などが反対をしまして。
ぜひこれ選挙で大統領候補に、これ下げてくれれば応援すると言って、実際にその人が当選しました。
下がったんです。今まだ外食は19%だったのが、10%に下がったんです。
ね、9%も下がった。
それで、レストランの物価が下がったか?っていうと、一銭も下がらなかった。
これはもう当たり前のことで。
今まで苦労してきたんだから、別に下げることはない」
塩入「10%近く下がったのに、価格は全然下がらなかった」
湖東
「これはもう当たり前のことで。
あの諸外国ではそういう税率を下げても、物価は下がりませんよっていうことは、検証済みなんですね。
要するに、この税金、消費税っていうのは不思議な税金で。
8%なり10%の税率。それを必ず取らなきゃならないという法律でもなければ、下がったら下げなければならないですよという法律もないんです。
要するに、商売している人のあるいはレストランの善意にかかってる。
あるいは気分。気分に従って下がるという税金ですから、まあ、とってもわかりにくい税金ですね」
食品のみ減税は、全体の増税への第一歩
日本経団連の願い「ヨーロッパのように消費税の税率を20%にしろ」
塩入
「まあね、例えばそのこの消費税の減税に関して、1項目だけ下げると、消費者にとっては一見すごく良い政策に見える部分があって。
割と多くの方が「食品の0%いいわね」っていうふうに言う方が多くてですね。
まあ、衆院選でも自民党に対して好意的に思った方も多かったと思うんですけれども。
1項目だけの消費税を下げるということに関して、長期的な目線で見ると、日本の経済はどうなっていくんでしょうか?」
湖東
「これは大変なことが起こります。
なぜかというとですね、納税する人からすると納める税金は下がります。
税収が下がると言ってますよね。
まあ、5兆円ぐらい下がるだろうと言ってます。
下がった分をどうするのか?どこから持ってくるのか?といって、一番いいのは簡単なのは、他の税率を上げればいいじゃないかいうことになる。
で、要するに食料品だけじゃなくて他のものを0%にしよう、他のものも下げようっていうと、さらにその分がどんどんどんどん税率が上がっていく。
ヨーロッパが今そうなんです。
食料品フランスが5.5%、ドイツが7%でやってます。イギリスは0%です。
そうするとですね、その代わり標準の一般の税率がグーンと上がってるわけですね。
この姿に(日本も)なるということです。
つまり食料品0%をやった途端に将来、他の全てのもの8%が12%になり、15%になり、20%になるよ。そのスタートなんです。
恐ろしいことが起こります。」
塩入「標準税率の方で上げていくと」
湖東
「はい。上げてく。それが一番ね、素直な考え方で、ヨーロッパではそのようにやってきたんです。
だから、あんな高い税率でね、標準税率20%などというところがいっぱいあるんです。
ビックリしますけども。
片方でその食料品やそのほかの生活必需品が低い税率でやってるものがあって。
そういう歴史があるということです。
そういうことになるよ。
まあ、早い話、高市さんがなぜやり出したか、言い出したかと言えば、財界というものがありまして、財界は日本経団連を中心に早くからヨーロッパのような20%の消費税の税率にしろとこう言ってるわけです。
で、それが実現する第一歩だというために、今出したのではないかというのが私の見方です。」
塩入「なるほど。全体の増税への第一歩なんだという見方ですね」
湖東「はい」
食品の消費税が0%でも1%でも変わらない
どちらも物価は全く下がらない&事業者はすごく負担が大きくなる
塩入「さて湖東先生、最近では食品の消費税を0%ではなくて、今度1%にするというような案もでているそうなんですけども。
これあの、レジ改修期間の短縮を目的としていると。
それで浮上した案だと言われてるんですけど。
湖東先生、これはどのように感じてらっしゃいますか。」
湖東
「バカバカしいですね。同じことです。0と1%は全く消費者にとっては先ほど言ったように、物価は全く下がりませんし。
事業者の方は物価はやはり下がらないし、納税額さっき言った飲食店も8%引けたのが1%になるんですから、すごく負担が大きくなるということで、全く意味がない。
ただ、機械のレジの改修に期間がどうのこうのと言いますが、これは消費税そのものがそういう税金なんです。
上げる時だって同じなんですよ。みんな。同じなんです。手間がかかるんです。
で、そのことはこの税金がある限り、いつも付いて回ります。
だったらもうずーっと固定化して上げなければいいじゃないか、ということになるんですが、まあそういう政策で迷惑を被る人がいる。
一番迷惑かけるのほそのソフトを変える人はそれを変えた分だけお金もらえますけど。
それを払っている企業、税理士の事務所なんかもそうなんですが、変えなきゃなんないんです。その費用大変なんですよね。
そういう意味では、税率を動かすということ自体に、私は反対です」
食品会社は非常に得をする!
食品会社に大きな還付金…200億~500億も!
塩入
「それで、この食品のみの消費税減税が導入される場合、メリットがあるのは、その海外へ食料品を輸出している大企業が還付を受けられるように、制度が作られている部分もあるのかなという懸念点があるんですね。
で、この点に関して、湖東先生のご意見をちょっとお聞かせいただけますでしょうか」
湖東
「はい。あの0税率というものが入ったとします。
そうすると、一般の消費者の方は物価が下がりません。
ね。それはもう実証済みですが。
非常に得をする人たちがいるんです。
それはどういう人かっていうと、食品会社です。
一番有名な所で言えば、サントリー。ね、サントリーグループ。
あるいはアサヒ、キリン。そして、日本ハム、コカ・コーラとか。そういった所。山崎パンとか。ね。明治製菓とか、森永製菓とか、いっぱいあるんですが。
そういったところはですね、0税率のおかげで、今まで消費税を納めていましたが、まあ軽減税率で納めていたわけですが、なにがしかは出ていたわけです。
まあ、10%納めるところを8%でいいから、少しは下がるんですけども、それよりもさらに0%ですから、これはもう払わないどころか還付がある。還付が出るんです。還付金が出るんです。
私が試算した還付金は最近の決算で、サントリーグループは約582億円の1年間で還付。キリンが434億円の還付。それから、伊藤ハムは267億円の還付。コカ・コーラが440億円の還付。山崎製パンは211億円の還付。日本ハムグループ488億円の還付。
こういうふうになります。
これはね、この会社に税務署から振り込まれてくるんです、毎月。
毎月毎月振り込まれてくる。
だから、その分を下げてくれればいいですよ。その分下げる義務はないんですから。
いただき!ってなもんで。
これはね、ものすごく嬉しいことです、これらの業界にとって。この業者・会社にとって。
利権化:還付金が欲しくて業界ごとに運動が始まり…その結果、標準税率がぐんと上がる&業界ごとの格差が広がる
湖東
「で、このことを知るとですね、その周辺の業者が、「え、生活必需品の食料品?じゃあうちも、うちの業界も返してもらいたいな」と思うんです。
だからイギリスでは子供服だとか子供の靴だとかも0税率だとか。ね。
電気、ガス、水道も0税率だとか。
色んなこと言って、業界ごとに運動を始めます。
この運動がですね、政治家を抱き込んで、「あんたの所も0税率と言ってくれ」とこういうふうにね、なるわけです。
それの結果どんどんどんどん0税率が増えていって、標準税率がぐんと上がって、20%になってるイギリスですね。
こういうことです。
これも本当にね、ひどいんですよ」
塩入「これでもまあ、利権化してしちゃうというか」
湖東「はい、そうです。そういう可能性が非常に高いですね。はい」
塩入「そうですね。いやだからね、業界によってはその食料品0%を止めないというか、むしろ応援する業界があるっていうのは、こういう裏側があるんだなと」
湖東「そうですね。還付になる業界は嬉しいですもんね。
ぜひ0税率を勝ち取りたいとこう思って、政治献金をするに違いない」
塩入「でもその一方で、泣く業界があるっていうことですよね」
湖東「そうです。勝ち取れなかった業界は、高い税率になって、ヨーロッパのように20%というような税率になって、非常に苦労することになります。
格差社会が生まれてしまうんですね」
納めた消費税の30%が輸出企業の還付金に
国内で活動する企業との格差
塩入「分かりました。湖東先生、輸出の還付金になっていることもですね、なんと湖東先生が独自にお調べになったのがありましたね。
赤字の税務署を探して、そこからこう辿っていくみたいなやりかたをされてましたよね。
あれすごかったですね」
湖東
「消費税という税金はですね、払う人や払う企業、これはもう赤字でも払わなきゃならない。
ところが、還付がある業界、これは今一番大きいのは輸出業界です。
自動車なり家電なりね。
そういう輸出をしている業界、これは還付を受けてます。
サントリーなんかも食料品の輸出があるので、還付金があります、もう既に。
還付をしたいと思えば輸出をせよとこういうわけです。
この輸出の還付金っていうのも食料品0税率と同じように、輸出は0税率で課税をしてるんです。
0税率で課税をすると、仕入れに入っている税金が戻ってくるとこういうわけですね。
ものすごい額です。
どのぐらいあるかというと、全体としての還付金は、皆さんが納めた企業が納めた分のおよそ30%が大企業に還付されて、税収に入っていません。
恐ろしいことです」
塩入「いや~、それで一方で泣いてるね、業種の方たちが。
国内で活動されている企業の方たちはみんな税金がかかってくるわけですから。
納めなければいけないと。
不公平です」
湖東「そう全くその通りなんですが。
この消費税というのの0税率というのは、そういう悲劇を生む税金です。
絶対やっちゃいけないということを私は主張します。」
食料品0%は絶対に阻止すべき!
塩入「最後に、この食料品の消費税減税に対して、国会で参政党に期待されることなどがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います」
湖東「今もうしましたように、これを入れてしまうと、だらだらと次の税率の引き上げになる。
次の業界がまたうちの業界こそ0税率にふさわしいと言って運動をする。
そういったことがですね、起こらないために、食料品0%は絶対に阻止するということ。
経済界でも、税理士会なんかもそうなんですが、食料品0%はやってはいけないということを意見として持ってます。
政党でもそういうね、参政党をはじめ、そういう政党もおりますので、ぜひですね、これだけはやらせてはいけないということで、意見を上げてもらうとありがたいと思っております。よろしくお願いいたします」
塩入「もう、しかと先生のお声を受け取りまして。私も財政金融委員会なので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います」

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