【フェンタニル】トランプ氏 法執行強化で徹底排除へ(2025年7月16日)
2025年7月16日にホワイトハウス東棟で開催されたトランプ大統領によるHALTフェンタニル法署名式。
トランプ大統領がフェンタニル規制法案に署名する前に行ったスピーチです。
前大統領が引き起こした国境開放という悪夢
凶悪な密売組織やその他あらゆる組織が流入
トランプ大統領
「この法案により、フェンタニル関連物質は恒常的にスケジュールⅠに指定されます。
※スケジュールⅠ-Schedule1-…乱用性が高く、医療目的での使用が認められていない薬物。例:ヘロイン・LSD・MEMA
これは実に重要な決定です。
小さな変更に思えるかもしれませんが、専門家が言うように、極めて重要なのです。
今後、こうした違法薬物を取引した者には、最低10年の実刑判決が科されます。
これにより、麻薬の売人や密売人を街から排除していきます。
薬物過剰摂取の惨禍が終息するまで、決して手をゆるめません。
状況は多少改善しているものの、依然として深刻であり、本当にひどい状況です。
6カ月前、我々は政権を発足させ、米国史上最悪の薬物危機を引き継ぎました。
前政権は何も対処していませんでした。
4年間の長きにわたり、ジョー・バイデン(前大統領)は我が国の国境を地球上でもっとも邪悪で凶悪な密売組織やその他あらゆる勢力に明け渡して来ました。
そして、外国の麻薬カルテルが国内に巨大な拠点を築くことを許しました。
我々は何の対処もしていませんでした。
この国境開放という悪夢が、フェンタニルと“いてはならない最悪な連中”の流入を招きました。
違法薬物は地域社会を荒廃させ、我々はかつてない治安上の難題を抱えることとなりました。
これを上回る危機が起きないよう願います。
これより酷い状況は想像できません。
前政権は何百万人もの犯罪者を我が国に流入させました。
殺人犯の数は1万1888人に上り、その半数は2人以上を殺害していたのです」
トランプ政権発足後のフェンタニルとの戦い
国境に米軍を展開し、メキシコの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定
トランプ大統領
「トランプ政権の発足初日、我々は密売人・密輸業者・麻薬カルテルに対し、全面戦争を布告しました。
就任から間もなく私は国境に米軍を展開し、ICEと国境警備隊の職員を総動員し、侵略から祖国を守らせました。
※ICE…移民・関税執行局。不法移民摘発や送還を担う米国の連邦機関。
あれは単なる越境ではなく、国家への侵略でした。
それを許したのは、無関心だった者たちか、あるいはただの愚かな者でした。
さらに私はメキシコの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定しました。
信じがたいことかもしれませんが、わずか数週間で我々は米国史上、最も厳重な国境体制を築きました。
そして、先月の違法越境件数は観測史上最低を記録し、6月の数字は実質ゼロでした。
私ですら信じがたいことですが、受け入れておきます。
数十万件がゼロに減るなど考えられませんが、そう報告されているのです。
しかも、統計を出しているのは、かなりリベラル寄りの人々です。
ならば受け入れましょう。6月はゼロだったのです。
これより良い数字はありませんね。
私は就任初日に国土安全保障の特別チーム設置を命じる大統領令に署名し、国際犯罪組織や密輸業者を一掃すべく、連邦捜査機関を総動員しました。
連中の排除が狙いでした。
そして、2週間前、その任務を完遂するために、必要な資源確保されました。
私が「1つの大きく美しい法案」に署名したからです。
私は皆さんに感謝したい。(聴衆の拍手)
全員に感謝しています。
皆、本当によくやってくれました。
さらに、フェンタニル密売人には、最高刑を求刑するよう司法省に指示しました。
必ず最大限の刑罰を科していきます。
私の就任以来、司法省は過去最多となる約2トンのフェンタニルを押収しました。
中でも5月のシナロア・カルテル摘発が押収量に大きく寄与し、これは米国史上最大規模のフェンタニル押収事例となりました。
※シナロア・カルテル…メキシコ最大級の麻薬密売組織
そして今まもなくHALTフェンタニル法に署名することで、凶悪な密売組織や犯罪者たち、そしてメキシコを牛耳る麻薬カルテルに対し、新たな一撃を加えることになります。
穏便に言うならば、抑えて話しているつもりですが、彼らはメキシコを事実上支配しています。
我々はこの事態に対処しなければならず、見過ごすわけにはいきません。
メキシコ当局は恐怖に凍りついています。
職場に足を運ぶことすら怯えるほどで、それはカルテルが政治家を含め、メキシコ全体を掌握しているからです。
フェンタニル関連物質は永続的に禁止…密売人には極めて長い刑期
従来のフェンタニルの100倍の強さ「カニフェンタニル」
トランプ大統領
「長年にわたり、違法フェンタニルの製造者たちは、化学構造をわずかに変えることで法規制を回避してきました。
そして、その過程で、より毒性の強い変異型を生み出してきたのです。
中でも「カルフェンタニル」と呼ばれる変異型は拡大の一途をたどっており、従来のフェンタニルの100倍の強さを持っています。
想像できますか?フェンタニルでも十分危険なのに、これはその100倍の致死性です。
広がりもますます深刻で、危険性も高まる一方なのです。
そしてご存じの通り、私は習近平主席と非常に良好な関係にあります。
しかし、フェンタニル対策として、中国に対し20%の関税を課しました。
私はこれを“罰則”と呼んでいます。
というのも、中国がフェンタニルの相当量を送り込んでおり、「すべて中国からだ」と言う人もいます。
彼らは、メキシコ経由や直接ルートで米国に送り込みます。
そこで、20%関税です。
自らの行為の代償として、彼らは数十億ドルを支払うのです。
私はさらに中国政府がフェンタニルを製造・密輸する者に対し、死刑を科すよう働きかけていきます。
それが他国経由であれ、直接であれ、厳罰が必要だと考えています。
本来なら、私はその合意を既にまとめ、彼らと握手を交わしていたはずでした。
しかし、不正選挙の結果、別の人物が政権を握り、新政権は死刑措置の合意について全く理解していなかったのです。
中国でフェンタニルを製造し、米国に送る者には死刑が科される見通しです。
その実現は近いと確信しています。
本日をもってフェンタニル関連物質は永続的に禁止となります。
これら致死性薬物の密売人には極めて長い刑期を科します」
フェンタニルによって亡くなった家族を持つ人たちの声
トランプ大統領
「本日はこの災厄に苦しめられてきたほんの一部の家族にご同席いただいてます」
遺族の話①スポーツのけががきっかけで…
トランプ大統領
「ミシガン州のグレッグ・スワンさんもその1人で、かけがえのない息子ドリューを失い、胸の張り裂けるような悲しみを背負っています。
ドリューはスポーツ中のけがで鎮痛薬を処方され、そこからオピオイド依存に陥りました。
※オピオイド…強力な鎮痛薬の総称。依存性が高く、全米で過剰摂取死が急増。
こうした例は非常に多く見られます。
それでも彼は依存と闘い、自力で克服しました。
ところがある日、フェンタニルが混入された錠剤を口にしました。
「大丈夫だろう」と思い、ほんの軽い気持ちで服用し、その判断は命取りとなり、彼は悲しくも命を落としてしまったのです」
ドリューの父
「大統領、不法越境を止めて下さってありがとうございます。
あなたの実行力は本当に驚くべきものでした。
私たちが無視され、軽んじられていた現実に、あなたは光を当ててくれました。
今は守られていると感じます。ありがとうございます」
遺族の話②15歳の長男がたった1錠、1度の過ちで‥‥
トランプ大統領
「胸が痛みます。また本日はアン・ファンドナーさんにも来ていただきました。彼女は15歳の長男、ウェストン君を亡くされ、今日でちょうど1年が経ちます」
アンさん
「彼がどれほど美しく、思いやりにあふれ、素晴らしい人生を歩んでいたかを語りました。私たちはできる限りのことをしました。
でも、仲間の圧力に抗えず受け取った1錠。そのたった1度の過ちが彼の命を奪いました。
この4年間で、フェンタニルは15歳から48歳までの米国人の死因第1位となりました。
14歳未満の子どもたちが最も急速に被害が拡大している層です。
トランプ大統領。
この4年間、私たちはずっと無視されてきたと感じていました。
でも、あなたが状況を変えてくれました。
私たちは心から感謝しています。
あなたは国境管理を強化し、カルテルを制裁し、関税を課し、密輸ルートの抜け穴をふさぎました。
あまり知られていませんが、これは大きな一手でした。
供給源となる国々にも対処し、財務省・司法省・国土安全保障省・議会まで総動員してくださいました。
そして、本日署名されるフェンタニル法は超党派かつ圧倒的な支持を受けた法律であり、スケジュールⅠ薬物に指定することで、売人への刑事責任追及を強化するものです。
これは、全米の家族にとって命綱であり、私たちの安全を守ってくれる法律です。
大統領は常に「アメリカの安全」を追及しています。
本当にありがとうございます。
アメリカそして子供たちの安全を守って下さり感謝しています。
これこそが私たちが1票を託した理由です。
大統領に神のご加護を」
法案に署名へ
トランプ大統領
「我々がこんな訴えをせねばならないとは正気の沙汰ではありません。
何年も同じ訴えを繰り返さねばならない。
これほど悲しく虚しいことがあるでしょうか。痛ましいことです。
この世界的危機に傷ついた“誰か”が私たち皆の心に浮かびます。
各国もこの問題に直面しており、注視しています。
しかし、我々ほど深刻な状況にある国は多くないと思います。
連中はこの国に来て、我々を容赦ないやり方で搾取します。
カルテルもそれ以外の者たちもそうです。
なにしろ、この国は裕福な部類に入るからです。
金が集まる場所だからこそ、こうしたことが起きるのです。
「なぜここまで深刻なのか」と問われますが、それは我々が他の国よりも裕福だからです。
だから、彼らはやってきます。
赤ん坊の手からアメを取るかのように容易く金を奪うのです。
そこで、本日オピオイドで家族を失った全米の皆さんに代わり、この忌まわしい疫病から祖国を解放するという誓いを新たにします。
そして皆さん(議員・当局者ら)が最高の成果を上げてくれると信じています。
皆さんの役割の重さは計り知れず、政府内で最も重要と言っていいほどの任務を担っています。
これ以上に重要な任務はありません。
皆さんの成功を願い、全面的に支援していきます。
あらためて議会の皆さんには、この重要法案を可決してくれたことに感謝します。
実に見事な働きぶりでした。
下院・上院の議員の皆さんの奮闘は、信じがたいほどでした。
もしよければ、署名の際に壇上へ集まってください。
終わったらすぐ本会議へ戻り、さらに多くの法案を通してアメリカを再び偉大にして行きましょう」
(椅子から立ち上がり、壇上に集まる議員の方々。トランプ大統領を囲む)
トランプ大統領「準備はいいですか?」
(フェンタニル法案に署名するトランプ大統領)
トランプ大統領
「オートペンなんかじゃありません。間違いない。素晴らしい。ありがとうございます」
※オートペン…署名を機械で自動再現する装置
(拍手する壇上の議員たち)
トランプ大統領
「皆さん本当にありがとう。大変光栄です。
おそらく私が署名した中でも、最重要級の法案です。
皆さんの尽力に感謝します。
皆さんありがとうございました」
コメント