【アメリカ】米日本は関税15%を購入した

トランプ関税をめぐる日米交渉は、相互関税と自動車関税、いずれも15%とすることで電撃合意しました。
また、日本側がトランプ大統領の支持で、5500億ドル(日本円にして約80兆円)を投資することになっています。
日米交渉の当事者でもあるあめりかのラトニック商務長官が、その内幕をBloombergの独占インタビューで激白しました。(ブルームバーグ2025年7月23日配信)

日本との関係

アナウンサー「昨夜の交渉にも同席した商務長官のハワード・ラトニック氏です。
おはようございます。本日はありがとうございます。
革新的な資金調達の仕組みについてお聞きします。
日本が5500億ドルを投資(日本円で約80兆円)するという基金についてです。
この基金は具体的にどのような形になるのでしょうか」

ラトニック商務長官
アメリカがプロジェクトを選び、日本は実行する権限を与えることになっています。

例えばジェネリック医薬品を製造したいとしますよね。
アメリカでは抗生物質を作っていませんから、大統領がアメリカで抗生物質を作ろうと言えば、日本がそのプロジェクトに資金を提供します。

そして、運営する企業に任せ、利益は米国の納税者に9割。日本には1割が配分されます。
(笑いながら話すラトニック氏)

日本は実質的にこの公約によって、関税率を引き下げたのです。

「トランプ大統領やアメリカが望み、アメリカで国家の安全保障上、重要なものを建てるなら、それを支援し、あなたの味方になります」と。

アナウンサー「石破(茂)総理は融資保証だと言っていますが、それ以上のものなのですか?」

ラトニック商務長官
「もちろんそれ以上です。エクイティや融資保証などです。
日本はプロジェクトを実現しなければなりません。

アメリカが1000億ドル相当の半導体工場を建てたいとします。
アメリカでチップを作りたいからと。
日本がそのプロジェクト全体を資金面で支援します。
エクイティやローンなど何でもいいので、1000億ドルを提供しないといけません

アナウンサー「それは日本企業がですか?」

ラトニック商務長官
「いや誰でもいいのです。日本は資金提供者です。
銀行家であって、運営者ではありません。
なので、日本企業ではありません。

皆さんが混乱しているのは、トヨタのような日本企業が来て工場を建てるような話ではないということです。
これは文字通りアメリカがジェネリック医薬品、半導体、重要鉱物をここで作りたいと」

アナウンサー「実際にこういうモデルは既に存在するのでしょうか?」

ラトニック商務長官
「あるから私が政府に加わったのです。これは私が1月に思いついたアイデアです。
日本はドナルド・トランプが望むように市場を開放するつもりはないので、つまり完全に市場を開放するわけではありません。
なので、日本は別の方法をとる必要がありました。

私は4000億ドルの基金を提案し、彼らが大統領とアメリカに国家の安全保障に貢献する物を作る上での資金を提供・支援する。そういうモデルです」

アナウンサー「石破総理が辞任するかもしれないと報道されていますが、この取引は日本の国内政治を超越するものでしょうか」

ラトニック商務長官
「もちろんそうです。極めて重要です。
日本の自動車会社に何が起こったか見たでしょう。
今日(株価は)10%以上上昇しました。

25%の関税率は、ドナルド・トランプの言う「アメリカで生産せよ」を実現させます。
15%はまさにギリギリです。
日本の自動車メーカーはまだ日本で生産できるのです。

そして日本が望んだのは15%という関税率を買うことでした。
一部の車は日本に留まりつつ、もちろん大量生産はアメリカで行うという線引きです。

日本が行ったのは投資をすることで、ドナルド・トランプに対し、アメリカへの投資手段を与えたのです」

アナウンサー
「自動車に対する15%の関税は日本にとって大きいです。
自動車関税全体が25%から15%に引き下げられるとお考えですか。
例えばトヨタは15%でGMは25%のままになります」

ラトニック商務長官
「GMが25%もなることはありませんが…」

アナウンサー「韓国から輸入した場合は?」

ラトニック商務長官
「韓国で生産すれば韓国の問題ですし、韓国で輸入すればそれも同様です。
現在ヨーロッパは25%、韓国も25%支払っています。

日本はいわば権利を買い、ドナルド・トランプに巨額の投資をしたことで、関税率が15%に引き下げられました。

そしてドナルド・トランプが考えるアメリカにとって最も重要なプロジェクトに投資できるようになります。

しかし現状でドナルド・トランプはEUと韓国に圧力をかけています。
この圧力はかなり強いです」

EUとの関係

アナウンサー
「日本はEUにとってモデルになりますか?」

ラトニック商務長官
「そうかもしれません。交渉次第でしょう。
EUは市場を開放する気があるのか?
ヨーロッパは1兆ドルを出してまで関税率を15%以下にしようとはしないでしょうね(笑)」

アナウンサー「15%以下はあるのでしょうか?それとも15%が最低ラインですか?」

ラトニック商務長官
「自動車では有り得ないと思います」

アナウンサー「EUの場合、相互関税では?」

ラトニック商務長官
「大国がそんなに低い関税は無理だと思います。
小国では有り得るかもしれませんが、それは大統領が決めることです。
しかし、大国は苦戦するでしょうね」

アナウンサー「あなたがEUと毎日交渉してるのは知っています。
EUが受け入れなければならない最低関税率は日本と同じ15%です」

ラトニック商務長官
「世界中のだれもがドナルド・トランプを注視しています。
私はテーブルセッターとして、物事を整理し、構造化します。
大統領は後ろにあった大きなボードの写真を投稿しましたが、もちろんそのボードは私が作ったものです。
しかし実際は、アメリカ合衆国の首席交渉官ドナルド・トランプがそこに座っており…」

アナウンサー
「あなたは「解放の日」のボードも作成し、各国の関税率を目にしました。
そして、昨夜のボードも作成しましたが、ではヨーロッパの場合はどうなるのでしょうか?
もし一律15%の関税率なら、ヨーロッパは何を購買すれば大統領の懸念を払しょくできるのでしょうか?LNGでしょうか?それとも農産物でしょうか?」

ラトニック商務長官
「ヨーロッパの経済規模は20兆ドルです。
アメリカは30兆ドルをわずかに下回り、中国、EUは約20兆ドルと規模が似ています。
もしEUが大統領に「市場を本当に開放します」と言えば、つまりアメリカ車を受け入れますと。

日本がしたことを考えてください。
彼らは「アメリカの規格でアメリカ車を受け入れます。だから、わざわざ違う車を造る必要はありません。デトロイトで作った車を船に乗せて送ればいいのです」と。

もしヨーロッパがそれを受け入れ…本当の意味で受け入れ…本当の意味で受け入れ、アメリカ製品をヨーロッパで本当に受け入れれば、それはアメリカにとって何千億ドルもの輸出機会になります。

それは大統領を動かすでしょう。なぜなら、アメリカにとってその機会は非常に大きいと言うでしょう」

アナウンサー「来週、その合意に至ると思いますか?」

ラトニック商務長官
「何か月も協議してきましたが…」

アナウンサー「EUは合意に至らなければ、報復すると言っていますね?」

ラトニック商務長官
「大統領は彼らに手紙を書き、「合意が成立しなければ30%を課す」と言ったのです。
戦術を公にしていますが、もちろんドナルド・トランプは手紙を書き、「合意しなければ30%だ」と。
ドナルド・トランプは真剣です。
ディールがなければ関税率は30%です。
EUは圧力を感じますよね。
そして「これが代替案だ」と話します。
EUは確実に合意をしたいのです。

しかし、ドナルド・トランプは合意をしたいのでしょうか。
トランプはEUの市場開放を評価するでしょうか?
EUは完全に開放するでしょうか?
それこそがトランプが求めているものです。

私はEUはそうすると思っています。完全に市場を開放すると。

これはアメリカがこれまでに経験したことのないことです。
ドナルド・トランプが世界中の市場を開いているという考え方です。

アメリカの牧場主や漁師のためにも、私たちの農家にとっても、誰も見たことのない素晴らしい機会です。

私たちはストックホルム症候群にかかっていますよね。
世界は私たちをあまりにも長く抑圧してきたので想像すらできません。
他国がアメリカにするように自由に輸出できる世界が。
しかし、その世界は到来します。
それがドナルド・トランプが「黄金時代」と呼ぶものです。
他国がアメリカを扱うように、アメリカが世界に輸出できる能力のことです」

中国関係

アナウンサー「来週は一時的にヨーロッパから離れる必要がありますよね。
中国とのストックホルム会談に向かわれますよね?
中国をめぐっては、NVDIAのジェンスン・フアンがトランプ大統領と話をしました。
あなたもその場にいたと思いますが、フアン氏はどのようにしてH20チップの中国への再販の許可を得たのですか?」

ラトニック商務長官
「H20 はバイデン政権下で開放されました。
バイデンが…バイデン政権下で自由に取引されていました。
でも、中国で販売されました。
そして、私たちが介入し、「待て待て」と。「それは強力なチップだ」と。
そして、禁止しました。

そして、今は磁石のことがあります。
生産者への磁石の供給を確保しようとしていますが、それがディールでした。
これには輸出規制がかかっています。
しかし、中国が磁石を供給すれば、H20 の規制も解除されます。

ただ、これは妥当だと思います。
前回は自由に販売できたので」

アナウンサー「H20は強力なチップと言っていましたが、中国がH20 を入手することに、安全保障上の懸念はありますか?

ラトニック商務長官
「H20は世界で3番目に優れたチップでしたが、ただ、今は4番目に優れたチップです。
NVDIAのBlackwellが最高なので…
H200 H100ときて、H20は4番目です。

私は大統領が中国との関係が良好であれば、購入できるようにすると決定したと思います。
今ライセンスメカニズムを導入し、運用を開始しています。

大統領は中国が購入できるように決定しましたが、それは中国が我々との合意を履行し、アメリカの生産者にレアアースを供給する事とのトレードオフになります」

アナウンサー
「来週中国のカウンターパートと会う際は、何を議論する予定ですか?
輸出規制の緩和あるいはそれ以上のことが議題に上がるのでしょうか?」

ラトニック商務長官
「我々は巨大な経済大国であり、お互いにラインを意識した上で貿易すべきだと。
彼らは私たちの農産物や野菜を買いたがっています。
彼らは何でも栽培できるわけではなく、アメリカの穀倉地帯のようなものもありません。
だから中国はそれらの製品を買いたがっています。
そして中国が作る多くのものはアメリカが買いたがるものであり、棚に安価なものが並ぶことを望んでいます。

だから、ラインに抵触せず、市場をより良く開放し、中国でよりアメリカ製品を販売駅るようにさせよと。
そして、競合としてラインはどこにあるのか。
極超音速ミサイルや最高のチップは売りません。
中国は競合なのでそれはあり得ません。
私たちが本当に議論するのは、そのラインがどこにあるかです。
H20 はそのラインに抵触するか微妙な問題であり、議論が必要です。

しかしもちろん安価なベビー服を買いたいですよね。
もちろんそうです。
だから、これは完全に理にかなっています。
だから市場を開いていきましょう。

ラインを越えて市場を開くことはありません。
そして、何を議論するかというと、そのラインが何を超えていて、何を許容できるかです。

ただ中国がアメリカに売って、その逆が起きないことをしたいのか。
大統領と中国の習国家主席は、さらなるビジネスをすることで合意しました。
だから私たちは市場をもっと開放することについて話します。
理にかなったことであれば、そして、本当に議論するのは取り組むべき領域なのか、イエスかノーなのか」

アナウンサー「1つお聞きしたいのですが、これで最後にさせてください。
商務省なので直接対応されるか気がかりなのですが、あなたの部下が現在中国から出国禁止になっていますが、何か最新情報がありますか?」

ラトニック商務長官
「信じられないですよね。私たちの職員の一人が中国籍の人物で、特許担当として働いています。
彼が帰国したら逮捕され、パスポートを取り上げています。
国務省に対応を任せていますが、これはとんでもない行為です。
本当に言語道断です」


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